ツワナ語の文では呼応・コンコードが頻繁に出てきます。次の文を見てみましょう
「e」がやたらたくさん出てきますね、これらはNtswaという名詞(名詞クラス9)に反応してつく呼応・コンコードです。それぞれ次の意味があります。
最初の「Ntswa e」ですが、「それ」「これ」というthisを表す、指示代名詞「e」です。Ntswa e,はこの犬という意味になります。
次の「e ne e」は過去進行形(was doing)を表します。構成としてはbe動詞的な呼応・コンコードの「e」+「ne」+分詞の「e」という構成です。
次の「e」はloma(噛む)という動詞の目的語としての代名詞です。英語では「it」にあたります。ツワナ語では目的語が代名詞になると動詞の前にやってきます。
最後のbeke e e fetilengはbeke(days of week/週)とfetileng(last/この前の)で就職するための関係代名詞です。英語でいうとthatで、beke e e fetileng *を英語にするとweek that is passing*です。なお、関係代名詞は名詞クラスではAdjective Markerと表現することもあります。
さぁ!どうでしょう、こんなにも同じ「e」がたくさん登場するのにそれぞれ意味がある!なんてツワナ語は面白いんでしょう。そう思いませんか?ちなみにこの文を読むと「ンチャーエ, エネエ ローマ ベケーえーフェチレン」です。
このように、名詞について補足を行うような関係代名詞句はツワナ語では呼応・コンコードを並べ動詞が活用し(-ng)で終わります。
主語 + 指示代名詞 + 呼応・コンコード + 目的語代名詞 + 動詞 (-ng)
この文のeは指示代名詞、「これ」にあたり、「oe」はコンコード、fentsengは「勝つ」という動詞fenyaの過去形fentseが活用して-ng型となっています。eからあとはmpho(gift)を装飾する文です。英語で言うところのthat節です。ツワナ語ではコンコードがthatの役割を担っています。
近年はこの名詞の補足説明をするための「指示代名詞」「呼応・コンコード」の組み合わせを「Adjective Marker」としてひとまとめにして説明していることのほうが多いように思います。Adjective Markerも名詞クラスごとに法則があります。詳細は名詞クラスを参照のこと